第 43 話
            PMS

 今回は女同士にしかわからないお話です。年齢制限をさせてもらうなら、30歳以上のオトナの女、に限ります。なんて気を持たせたが、話はカンタンで、PMSについてであります。生理の1週間前位からどんどん気持ちが不安定になったり、体調を崩したり、という経験、ありませんか?これって、かの有名なPMSのせいでありまして、決してあなたの性格の悪さや何かへんてこな病気にかかったせいではありません。

 人によってまったく何も変わりない人もいれば、頭痛や肩こりのような身体の変調に悩まされる人もいるし、私のように精神的におかしくなって、荒れまくり人にあたりちらして忌み嫌われる人もいたりして、ともかくやっかいなしろものなのだ。

 私はアメリカに来るまで、PMSなんてコトバを聞いたこともなかった。ところがここではものすごくポピュラーで、お笑いのネタにまでなったりしている。ファーマシーにはPMSのフィジカル用とメンタル用の症状に合わせて、たくさんの種類のお薬が並んでいる。ちなみに私も今やこの類のお薬を愛用させてもらっています。

 さて、私はご近所のみなさんにご迷惑をおかけしないために、堂々とみんなに「PMS宣言」をすることにしている。みんなよくわかっていて私のPMS宣言が出るや、サササッーと蜘蛛の子散らして逃げ去っていく。そう、私のそれはかなり悪評高いのである。どうなるかと言いますと、ハイパーになって相手の迷惑なんてなんのそので、ひとりで勝手にしゃべくりまくる、かと思うと、突然どんより勝手に落ち込んで、「もう自分がほとほとイヤになったよ。」とか自分を徹底的に追求し始める。とことんひどい状況の時はまわり中がみんな自分のエナミーになったような恐ろしい妄想にとらわれ、「あんたってほんとは大ウソツキ野郎だろうが。」なんてとんでもないセリフを大親友に吐いたりしてしまう。まったく困ったもんであります。

 さらにもっと困ったことに、こずるっこしい私は味をしめてきたのだな。PMSなのよね、と苦しそうに言うと、ああPMSならしょうがないなあ、とみんな納得して見逃してくれるということに気がついた。特にこの国は、オンナにしかわからない痛み、なんていうセリフにめっぽう弱いのである。若い男の子に、「あたし、PMSなのよ」の一言を言うだけで、あっと相手はコトバを失い、うろたえてくれる。「どうだ、参ったか。」と私は心の中で高笑いする。

 うふふ、こりゃ便利だわい、とばかり私はPMSでも何でもない時ですら友達をののしり、道ばたでケンカをふっかけ、原稿の締め切りは破り(ああ、ゴメン)、と好き放題の野放し状態になってきてしまった。「だってPMSなんだもん。」と弱々しくつぶやくと、すべての悪行が許される。わはは。一年中PMSのオンナなのよ、私は。やさしくいたわってよね、ふふん。

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