第 35 話
            週末お出かけ病

 何気なくスケジュール帳を開いて、あっと驚いた。夏になって以来毎週末、私はきゃあきゃあと、どこかしこにお出かけしていたじゃないか。それが尋常でない数なのだ。

 ハンプトンやロングアイランドにサマーハウスを持っているようなお金持ちの知り合いもいないので、東にバーベキュー・パーティーがあると聞けばそそくさ出かけ、西にフリ−コンサートがあると聞けばサンブロックローションをしっかり塗って出かける。そうなのよ、私はニューヨークの夏が大好きなのさ。だってタダものがわんさか盛りだくさんなんだもん。ニューヨークの夏は、金ない奴らにはこたえられないシーズンなのであります。

 例えばこの週末は一体どうであったか、ざっと揚げてみましょう。まずは金曜ナイト。クラブ「TWILO」で開かれたサマーアートショーに参加し、イラストを展示してもらったので、必然的にそこに出かけ、友達とわいわいしゃべくり、笑いまくる。やさしいゲイのお友達がどんどんワインを買ってきてくれるので、ありがたい。夜中にそこを出て、2件バーをハシゴし、お腹すいたので焼き肉食ってアパートに帰ったら、もう5時でありました。

 翌日土曜日。昼間は友達の友達の知り合いの家(こういうパターンが実に多い)のバーベキューパーティーに忍び込み、たらふく食う。夜は夜で、前日知り合ったばかりの方のカレーパーティーにまぎれ込む。ついつい話し込んでしまい、気がついたらもう4時よ!お腹はパンパンだし、眠れやしない。

 日曜日は、セントラルパークのフリーコンサート。レゲエ好きの私もさすがにパスしたくなるくらい疲れはてていたのだが、友達に朝10時に電話でたたき起こされた。とほほ、わかったよー、行くよ、行くよー。よろよろ出かける気の弱い私。強い日差しで目がシバシバする。しかも友達が赤ん坊を連れてきたりしていたもんだから、いないいないババア、とか言いながら、こいつのお相手までさせられ、その上、公園までの長い道のりを乳母車を押してやる。コンサートの間も、暑さと疲労で、踊るどころかぐらぐらと立っているのがやっとである。

 ぐったり帰ってきて、ああやっと眠れると思った矢先に、残されていた「今日の約束7時だったよね。」のメッセージに、またグラグラしながらチャイナタウンまで出かける。しかも一度出かけてしまうとなかなか後にひけない私。疲れすぎてて頭がハイになっているのもよくない。やたらはしゃぎまくって話し込んでしまい、帰って来たら夜中の2時でした…。

 「もうへとへとだよお。」と、週末お出かけフレンドのノリコがついに弱音を吐いた。ちゃんとしたお勤めの身でありながら、いつも私と共にこんな感じのスケジュールをこなしているんだから、どんなにつらかったことか。洗濯する時間がないので、着ていくものもままならなくなってきたよお、と訴える。食料の買い出しももちろん料理にも手が回らず、ずっと外食やテイクアウトが続いていて、お腹の具合もおかしいと言う。

 そうなのです。週末になると血が騒ぐ。こうしちゃいられん、貴重な夏が終わってしまう、とついつい体力の限界に挑戦する勢いで遊びまくる。冬の厳しいニューヨークでは、夏になると「週末お出かけ病」にかかる人が多いのよね。ああ、来年の夏は、優雅にのんびりとハンプトンのサマーハウスでくつろいでいたいものよ。私の隣りにはやさしくてお金持ちの彼がもちろんいてさ。などと夢みながら、今週末は、ブルックリンのフリーコンサートとお誕生日パーティーとビーチにお出かけする私なのでした。


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